ナガサワオリジナル Kobe INK物語
第31弾 海岸ストーングレー
夏はどうしても重い印象を持つ色、例えば黒とか茶色などを避けてしまいがちですが、色によっては夏でも十分に使えそうなインクは意外とあるものです。
この海岸ストーングレーなどはまさにそんな色なのではないかと思います。
まず、名前が良い。海岸ですからね。もちろん、冬の海岸も人が少なくて海も穏やかでなかなかオツなものですが、やはり海岸が似合う季節は夏ですよね。
しかし、この海岸ストーングレーは、夏の暑い日のカンカン照りの明るい色ではなく、少し曇りがちの、あるいは小雨が降っているような感じのグレーです。
海岸通りの建築のぬくもりをイメージしているとのことですが、ぼくは何となく海辺のアスファルトの遊歩道、あるいは波に濡れた砂浜、というイメージがわいてきます。
そして、そんな色を彷彿とさせる、うっすら黒に近い感じのグレーというのもまた素敵です。
ちょっとなまめかしいというか。こってりとした黒ではなくて、ほんのり明るさが加わっているんですよね。そしてそこが艶っぽいのではないかと思うのであります。
夏の盛りのあの喧騒から距離を置いてゆっくりと親しい人に手紙を書く時、あるいは一人で静かに手帳に向かう時に使いたい色です。